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2020.07.15
東広島市美術館 完成
※ 車椅子の会員さんから、ご意見いただきました。
7月12日(日) 新美術館オープン前の見学会に行ってきました。
気付いたことを何点かあげてみます。
① 建築中から気になっていた障害者用の駐車場は3スペース。そのうち2スペースは屋根がありません。しかもすぐ横には駐輪場があります。もしも雨や雪が降ったら車いすで訪れた人は濡れてしまいます。たとえ介助者がいても二人分の傘を持ってのサポートは無理です。自転車の人も見学中に雨が降り出したら自転車が濡れるのは嫌でしょう。
本来なら建物に近い場所に障害者用駐車場を設置するべきです。ところが玄関から遠い位置に設置されています。車いすユーザーが車いすを降ろして移乗するのにどれだけの時間を要するのか考慮されているとは思えません。
自転車が乱雑に停められていたり倒れていたら通れません。
2016年4月に障害者差別解消法が施行されています。
合理的配慮が国や地方自治体には法的義務として課せられています。駐車場に屋根をつけることは合理的配慮にあたると思います。駐輪場を別の位置に移動しないと壁に近い駐車場は使いにくいと思います。
同年にオープンした芸術文化ホールくららの駐車場と駐輪場は屋根があります。自転車が邪魔にならないように区別もされています。
② 外構の手すりは細いフラットバーです。移動弱者の杖代わりになるような太さではありません。しかも点字もありません。フラットバーが夏の暑さや冬の寒さだと握れない可能性もあります。館内の階段手すりは少し太いものですが点字なし。黒色は視覚障がい者には見えやすいのかどうかわかりかねますが・・・手すりの径は適切なサイズが決められています。
③ 多目的トイレには手荷物を置く棚やフックがありません。どこに置いて車いすから便座に移乗すればいいのか?
オストメイト装置への説明文がありません。ストーマについての知識がないから公衆トイレはいたずらされてしまいます。オムツ替えシートを利用して元に返されていないとオストメイトさんは困ります。
1階の一般用トイレの手洗い前の鏡は高い位置に取り付けられていて背の低い人(小学生など)は顔が写りません。
スロープの勾配は問題ありませんでした。
最初のスロープで男性職員がスロープを上がるのに車いすを触ろうとされたのでお断りしました。3階のエレベーターを出たら女性職員が順路を片手で示しもう一方の片手で車いすを押しやる。下に降りるためにエレベーター前に行くとまた片手で触ろうとされる。今度ははっきりと『勝手に触らないでください』と言いました。
外出すると勝手に後ろから押されることが多いのが現状です。エレベーターに押し込まれたりひっぱりだされたりと何度もされてきました。車いすは援助が必要という先入観からなのか断りもなく触られてしまいます。こちらの状態を確かめることもなく…いきなり背中を押されると手をはさんだり足がスッテプから落ちて捻挫しかねません。
今回の市職員の無造作な対応に不快感を覚えました。
障がい者がひとりで来ても特別なことがない限りひとりで楽しめることが望ましいのです。障がい者も自立しています。
オープンしたら障がい者に対する接遇研修を受けた人が就かれることを望みます。
当たり前のことですが老若男女、障がいがあってもなくても誰もが平等に文化、芸術、娯楽を享受できる権利を持っています。ノーマライゼーションの精神にほど遠いと感じました。
多額の税金で建築された新美術館があまりにも健常者目線なので残念でなりません。
令和2年7月14日
西本 智枝美